目次
「日本人は性に厳しい」「日本はセックスに消極的な国」
こうしたイメージは、今や世界的にも半ば
“定説”のように語られることがある。
しかし本当にそうだろうか。
古代神話をひもとき、文学や絵画、庶民の暮らしを見渡していくと、
まったく逆の姿が浮かび上がる。
日本はむしろ、性を隠すどころか、
物語にし、娯楽にし、文化として育ててきた国だった。
本記事では、古代から現代までを通して、
日本に「エロが花開く土壌」がいかにして形成されてきたのかを辿っていく。
神話から始まる日本――この国は“セックス”から生まれた
日本という国の起源は、実にストレートだ。
『古事記』『日本書紀』に描かれる天地創造神話では、
イザナギとイザナミという男女の神が交わることで、国土と神々が生まれる。
ここで注目すべきなのは、
性行為が「穢れ」ではなく、「創造そのもの」として描かれている点だ。
神々は性交を通して国を生み、命を増やす。
つまり日本神話において、性とは祝福される行為であり、生命の源だった。
世界を見渡しても、ここまで露骨に「セックス=創世」と描く神話は決して多くない。
この時点で、日本人の性に対する価値観はかなりオープンだったと言える。
古代・平安時代――エロは教養であり、嗜みだった
奈良・平安時代になると、日本の性文化はさらに洗練されていく。
万葉集には、恋愛や情事を詠んだ歌が数多く残されている。
しかもそれらは、隠語や比喩を駆使した高度な表現文化だった。
中国から伝わった官能小説『遊仙窟』は、日本で長く読み継がれ、
医学書『医心方』には、中国の性生活ハウツーが体系的にまとめられている。
重要なのは、これらが
・公然と流通し
・知識人だけでなく
・一般層にも受け入れられていた
という点だ。
性は恥ずべきものではなく、
知っていて当然、語れて当然の教養領域だったのである。
夜這いという文化――性は生活の一部だった
日本の性文化を語るうえで欠かせないのが「夜這い」だ。
現代の価値観だけで見ると誤解されがちだが、
夜這いは決して無秩序な性行為ではなかった。
・村ごとにルールがあり、
・未婚者のみ許される
・特定の祭り期間に限る
・合意が前提
といった社会的合意のもとで成立していた文化だった。
厳しい労働環境の中で、性は心身を解放する行為でもあった。
日本では早くから、
「性欲があることは自然なこと」
「性の充足は生活の質を高める」
という考え方が共有されていたのである。
江戸時代――日本のエロ文化が完成した時代
江戸時代は、日本の性文化がもっとも成熟した時代と言っていい。
この時代の特徴は、素人と玄人の明確な分離だ。
現代のように、誰もが性産業に巻き込まれる構造ではなく、
職業としての遊女と、生活の中で恋愛や性愛を楽しむ庶民がはっきり区別されていた。
また、春画の存在は見逃せない。
浮世絵師たちはこぞって官能絵を描き、
そこにはユーモア、誇張、物語性が盛り込まれた。
タコと女性の絡みといった表現は、
後に西洋の作家や芸術家に影響を与えるほど、独創的だった。
江戸のエロは、単なる性的刺激ではなく、
完全にエンタメとして成立していたのである。
ペリーが驚いたのは、日本人の「自由さ」だった
幕末、日本を訪れたペリー提督は、日本人のある習慣に驚愕した。
それが混浴文化と、街にあふれる春画だ。
彼にとって、日本人の性の扱い方は「理解不能」であり、「退廃的」に映った。
しかし逆に言えば、それほどまでに日本の性文化は自然体で、日常に溶け込んでいたということでもある。
明治という“例外”――性が「猥褻」になった瞬間
日本の性文化に大きなブレーキがかかるのは、明治以降だ。
西洋化・近代化の名のもとに、
・一夫一婦制の強化
・純潔思想の普及
・性表現の法的規制
が一気に進む。
ここで初めて、
「性=管理すべきもの」「性=恥ずかしいもの」
という価値観が制度として導入される。
重要なのは、これは日本固有の文化ではなく、
外来の倫理観による上書きだったという点だ。
それでも日本のエロ文化は死ななかった
制度的には抑え込まれても、日本人の感性は途切れなかった。
・漫画
・アニメ
・ゲーム
・同人文化
・AV
日本は再び、エロを「物語」「キャラクター」「表現」に昇華させていく。
世界から見れば、日本のエロ文化は異常なほど多様で、繊細で、創造的だ。
これは偶然ではない。
古代から積み重ねてきた土壌が、形を変えて現代に噴き出しているだけなのである。
現代に残る日本的エロ文化のかたち
現代の日本では、性は完全に自由でも、完全に抑圧されてもいない。
その中間で、独特のバランスを保っている。
風俗という存在も、その延長線上にある。
これは「逸脱」ではなく、
日本が長い時間をかけて培ってきた
“性を外注する知恵”の一形態とも言える。
江戸の遊郭、春画、芝居小屋。
それらと同じく、
現代の風俗もまた、日本の性文化の流れの中にある。
まとめ――日本は最初から「エロが咲く国」だった
日本は、性に厳しい国ではない。
むしろ、
・性を創造と捉え
・生活に組み込み
・娯楽として洗練させ
・表現文化へと昇華してきた
世界的に見ても稀有なエロ文化国家だ。
一時的に蓋をされた時代はあった。
それでも、日本人はエロを忘れなかった。
この国にエロが多いのは、異常だからではない。
最初から、そういう国だっただけなのである。
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